「インターン先で、毎日9時から18時まで営業資料を作らされてるんです。無給で」
大学3年生のAさんが参加した1か月の「実践型インターンシップ」。蓋を開けてみれば、社員と同じデスクに座り、上司から指示を受け、納期に追われる日々。遅刻すれば注意され、欠席には事前承認が必要——これ、皆さんならどう見ますか?
「これはインターンではなく、単なる労働に該当する可能性があります。」
「労働者」かどうかは会社が決めることではない
労働基準法上の労働者に当たるかは、契約書の名称ではなく実態で判断されます(平成9年 基発第636号)。ポイントは次の3つ。
指揮命令:業務の指示・納期・ノルマを受けているか
成果の帰属:あなたの作業成果を会社が利益として享受しているか
時間的拘束:出退勤を管理され、欠席に承認が必要か
複数当てはまれば、労働者性が認められる可能性は十分にあります。労働者と認められれば、最低賃金以上の賃金を遡って請求でき、作業中のケガには労災保険も適用されます。「無給と聞いて応募したから」という同意は、最低賃金法の前では無効です。
「経験になるから」で泣き寝入りしない
学生側が声を上げにくいのは、「内定に響くかも」「経験させてもらってる立場だし」という遠慮があるからです。しかし、実務をフルに担わせながら賃金を払わない企業は、労務管理の意識そのものが低い可能性があります。入社前に企業のコンプライアンス感覚を見極める機会と考えてもいいくらいです。
冒頭のAさんは、大学のキャリアセンター経由で企業に事実確認を依頼した結果、企業側が非を認め、アルバイト契約に切り替えたうえで過去分の賃金も支払われました。おかしいと感じたら、大学の窓口や労働基準監督署、総合労働相談コーナーに相談する。それだけで状況は動きます。
まとめ
見学・体験中心で自由度の高いプログラムなら、無給でも問題ありません。しかし「社員と同じように働いているのに無給」なら、それはキャリア体験の皮をかぶったタダ働きです。あなたの労働には、少なくとも法律が定めた最低限の賃金がついています。
執筆:社会保険労務士 山本達矢(社会保険労務士法人WILL)



